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訴えを起こし棄却された財産の遺産確認の訴えは可能か

【裁判】
事件番号:平成5(オ)920
事件名:遺産確認等請求本訴、共有持分権不存在中間確認請求反訴
裁判年月日:平成9年3月14日
法廷名:最高裁判所第二小法廷
裁判種別:判決
結果:棄却


【訴訟経緯】
所有権確認請求の訴えを起こし棄却されたが、棄却された財産につき「遺産確認の訴え」を提起することは可能かを求めた裁判。

■具体的背景
共同相続人ABCの内、AとBの間において、特定の土地につき、Aが所有権確認請求の訴えを起こしたが、その確認請求の訴えを棄却する判決が下された場合でも当該土地につき「遺産確認の訴え」を提起することは可能かを審議した裁判。


【判決】
上告人による本件上告を棄却、判決。


【判決趣旨】
共同相続人A、B、CのうちAとBとの間において、ある土地につきAの所有権確認請求を棄却する旨の判決が確定し、右確定判決の既判力により、AがBに対して相続による右土地の共有持分の取得を主張し得なくなった場合であっても、Aは右土地につき遺産確認の訴えを提起することができると解するのが相当である。
※判決文一部抜粋


【理由】
A,B間において右土地につきAの所有権の不存在を既判力をもって確定するにとどまり、Aが相続人の地位を有することや右土地が被相続人の遺産に属することを否定するものではないから、Aは、遺産確認の訴えの原告適格を失わず、共同相続人全員の間で右土地の遺産帰属性につき合一確定を求める利益を有するというべきである。
※判決文抜粋


【ポイント】
■遺産確認の訴え
遺産確認の訴えとは、特定の財産が被相続人(亡くなった人)の財産かどうか裁判所に確認を求めること。この訴えが認められると、その財産が相続財産となり、遺産分割対象財産となる。 ※あくまで、「相続財産」として認められるだけなので、訴えを起こした人の財産になるとは限らない


【最後に】
同日の裁判にて、所有権確認請求の訴えを起こし棄却された土地につき「共有持分の取得の主張」を訴えた裁判が行われました。こちちについては「所有権を棄却された財産」について「持分の取得」を主張(所有権を有していないと判決されたにも関わらず、自己の持分を主張)したため棄却されました。こちらと混同しないよう注意しましょう。