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相続に関する取決めのないゴルフクラブ会員権の扱いを争った裁判

【裁判】
事件番号:平成6(オ)1593
事件名: 会員権確認等
裁判年月日:平成9年3月25日
法廷名:最高裁判所第三小法廷
裁判種別:判決
結果:棄却


【訴訟経緯】
相続に関する取決めのない預託金ゴルフクラブ会員権の扱いを争った裁判。

■具体的背景
・昭和54年5月、Dは上告会社が運営する預託金会員制ゴルフクラブに200万円預託して入会した。
・昭和57年12月5日、Dは他界し同人の子で相続人である被上告人が本件会員制ゴルフクラブの地位を承継する遺産分割が成立した。
・しかし、本件ゴルフクラブ会員規定には、正会員が死亡した場合における会員としての地位に関する規定は存在しなかった。なお、細則二六条には、「本クラブに入会希望者で会員券業者から買入れをした会員券は理事会で調査の上本理事会の承認を得た後、会員として登録されるものとする。」との規定は存在した。
・本件は、被上告人が上告会社に対し、本件ゴルフクラブの正会員としての地位を有することの確認等を求める裁判である。


【判決】
上告人による本件上告を棄却、判決。


【判決趣旨】
本件ゴルフクラブにおいては会員としての地位の譲渡が認められていて、会員の固定性は既に放棄されているのであって、会員が死亡した場合に、相続人自身がこれを承継することを禁ずべき根拠は見いだし難い上、本件会則等は、右正会員としての地位が、単に金銭的な権利義務のみならずゴルフ場施設の利用権も一体的に含むものとして、いわゆるゴルフ会員権市場において売買や担保設定のために広く取引されることを想定している。
※判決文一部抜粋


【理由】
本件会則等においては、「正会員が死亡した場合におけるその地位の帰すうに関しては定められていないが、右のような正会員としての地位の譲渡に関する規定に照らすと、本件ゴルフクラブの正会員が死亡しその相続人が右の地位の承継を希望する場合について、本件会則等の趣旨は、右の地位が譲渡されたときに準じ、右相続人に上告会社との関係で正会員としての地位が認められるか否かを本件ゴルフクラブの理事会の承認に係らしめ、右の地位が譲渡されたときに譲受人が踏むべき手続についての本件ゴルフクラブの会則等の定めに従って相続人が理事会に対して被相続人の正会員としての地位の承継についての承認を求め、理事会がこれを承認するならば、相続人が上告会社との関係で右の地位を確定的に取得するというところにあると解すべきである
※判決文抜粋


【ポイント】
会員規約の補足(細則)に会員権の売買(譲渡)の取り決めがあったこと。


【最後に】
本文をご覧頂ければ分かる通り、本件は細則に会員権の売買(譲渡)の取り決めがあったことが判決に大きな影響を与えています。よって、ゴルフクラブ会員権だから全てこの様な判決になるとは限りませんので、この様な場合は一度弁護士に相談をし、規約を確認してもらう必要があると言えるでしょう。