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事実と異なる内容を主張した場合、請求は直ちに棄却されるか

【裁判】
事件番号:平成7(オ)1562
事件名:建物所有権確認等
裁判年月日:平成9年7月17日
法廷名:最高裁判所第一小法廷
裁判種別:判決
結果:その他


【訴訟経緯】
土地建物の所有権確認請求をした際、相手方が訴訟提起側の請求と異なる内容を主張し、その事実が認められた場合、訴訟提起側は直ちにその請求を棄却されるかを判決された裁判。

■具体的背景
・上告人は被上告人に対し、本件「建物」の所有権及び「土地」の賃借権を有しているとして、確認の訴えを起こした。
・上告人は本裁判において、本件「土地」はDから賃貸し、その上に本件建物を建築したと事実を述べた。
・しかし、被上告人はこれを否認し、本件土地を賃借して本件建物を建築したのは、上告人ではなく、上告人の亡父Eである旨を主張した。


【判決】
判決。一部原審に差戻し。


【判決趣旨】
原審において、上告人主張の事実を認めるに足りる証拠はなく、被上告人らの主張するとおり、本件土地を賃借し、本件建物を建築したのはEであることが認められた。その結果から、直ちに上告人の請求をすべて棄却したが、本判決において、一部を差戻し。


【理由】
本件においては、上告人が事実を主張せず、かえって被上告人らがこの事実を主張し、上告人はこれを争ったのであるが、原審としては、被上告人らのこの主張に基づいて右事実を確定した以上は、上告人がこれを自己の利益に援用しなかったとしても、適切に釈明権を行使するなどした上でこの事実をしんしゃくし、上告人の請求の一部を認容すべきであるかどうかについて審理判断すべきものと解するのが相当である。
※判決文抜粋


【ポイント】
相手方が訴訟提起方と異なる事実を主張し、訴訟提起側の訴訟提起が破綻しても、訴訟提起側の請求は直ちに棄却されない。(主張破綻側の意見を聞いた上で判決する)


【最後に】
裁判は相続に限らず、事実証拠が全てと言われます。自己に不利な事実があったとしても、その事実を隠さず、弁護士にありのままを伝え、その対策をどうするか相談した方が、返って上手くいくケースもあるでしょう。