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即時拮抗却下に伴う拮抗許可を求めた裁判

【裁判】
事件番号:  平成15(許)21
事件名:    遺産分割審判等に対する抗告却下決定に対する許可抗告事件
裁判年月日: 平成15年11月13日
法廷名: 最高裁判所第一小法廷
裁判種別: 決定
結果: 破棄差戻


【訴訟経緯】
拮抗人が即時拮抗期間を過ぎての申し立てを行ったとして、その即時拮抗が無効だと判断された内容を不服として申し立てた裁判。

■具体的背景
・平成14年3月27日、遺産分割と寄与分を求めて、拮抗人であるAと相手方らとの間で申し立ての審判を行った。
・本件審判(裁判の結果)は拮抗人Aに同年4月2日に告知された
・本件告知が関係者全員に通達されたのは、同年4月8日であった
・拮抗人Aは同月22日に、本件審判に対する即時拮抗を行った
・しかし、原審において、次項の理由により拮抗を却下される
・拮抗人Aは却下に不服を申し立て、現判決に至る。

■拮抗却下理由
①即時拮抗は、本件審判の告知を受けた日から2週間以内行わなければならないが、その期間を過ぎている
②拮抗期間の徒過が拮抗人の責めに帰すべきではない理由があった場合は、即時拮抗期間後でも追完が行えるが、その理由には該当しない。


【判決】
原審の判決を破棄差し戻し。


【判決趣旨】
拮抗人の責めに帰すべきではない理由がある。


【理由】
本件においても、抗告人が本件審判の告知の日がいつであるかを原々審に問い合わせた際に、担当の裁判所書記官は、平成14年4月8日に相続人全員に対する告知が完了した旨の上記の実務上の取扱いを前提とする趣旨の回答をしていること、抗告人は、この回答に基づき、その日から2週間以内である同月22日に本件即時抗告をしたことが認められる。【要旨2】本件におけるこれらの事情を考慮すると、抗告人は、その責めに帰することのできない事由により即時抗告期間を遵守することができなかったものと認めるのが相当であり、本件即時抗告が即時抗告期間を徒過した不適法なものとみることはできないというべきである。
※判決文抜粋


【ポイント】
民事訴訟法332条
民事訴訟における即時拮抗期間は、裁判の告知を受けた日から2週間以内


【最後に】
裁判において、即時拮抗するケースがあるかと思いますが、民事訴訟においては、原則、自己が受けた審判の告知日から2週間以内が拮抗期間となっています。一般に相続は民事訴訟となる場合が多いかと思いますが、民事訴訟でない場合は、拮抗期間が異なりますので、弁護士に確認の上、対応する必要があるでしょう。