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遺言書を隠蔽したとして相続人欠格を求めた裁判

【裁判】
事件番号: 平成15(受)1153
事件名: 相続権不存在確認請求事件
裁判年月日: 平成16年7月13日
法廷名: 最高裁判所第三小法廷
裁判種別: 決定
結果: 棄却


【訴訟経緯】
相続人の内の1人が、他の相続人が遺言書を隠蔽・破棄したとして、相続欠格に該当すると訴えた事案。

■具体的背景
・Xは平成9年3月に他界した
・相続人はXの妻とその子らである上告人A、被上告人B及びCとDである。
・上告人Aは被上告人BがXの遺言書を隠蔽・或いは破棄したとして、民法891条5号の相続欠格に該当するとして単独で訴えを起こす。


【判決】
上告人の請求を棄却。判決。


【判決趣旨】
共同相続人全員が当事者として関与した訴えが必要。
※単独での訴えでは成立しない


【理由】
相続が発生すると、法定相続人が相続の関与者となり、その内の誰かが相続欠格に該当するとなると、法定相続分・遺留分など相続人全体に影響を及ぼす。従って、共同相続人が他の共同相続人に相続の地位を有しないことを求める訴えは、共同相続人全員が欠格に該当しないか審議することが望ましいと判断できる。


【ポイント】
民法891条5項 相続の欠格
次に掲げる者は、相続人となることができない。
・相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者


【最後に】
本件のポイントは、法令文では条件しか記載しておらず、単独での訴えが可能なのか、相続人全員の訴え(関与)が必要なのか詳細がないことです。それが、本裁判により具体的条件が明確化されたことが非常に大きいと思います。但し、最高裁では具体的状況まで加味した上で審議しますので、万が一、相続で本判例のような「遺言書の偽造」などがあった場合、弁護士への相談は必要不可欠になります。