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養親子関係が解消されたと判断され、遺留分の請求ができなかった判決

【裁判】
裁判年月日: 平成21年12月4日
法廷名: 最高裁判所第二小法廷
裁判種別: 判決
結果: 破棄自決


【訴訟経緯】
Aが生前に公正証書遺言を作成し、その遺産の多くを子B(上告人)に相続させるとした遺言に対し、遺留分相当額をAの養子であるC(被上告人)が求めた判決。
Aは、大正6年9月17日、Yとの間で、同人を養親とする養子縁組をし、同人が戸主である家(以下「Y家」という。)に入り、その家督を相続。被上告人(C)は、昭和14年8月30日、実姉であるAとの間で、Cを養親とする養子縁組を行った。Aは同年11月29日、Zと婚姻してY家を去った。その後、Aは平成10年11月17日、Zとの子で長男であるB(上告人)にAの遺産の多くを相続させることなどを内容とする公正証書遺言を作成し、Cが遺留分を侵害されたとして本裁判に至る。原審では、Cの遺留分を認める判決を下す。


【判決】
判決。被上告人の控訴を棄却。


【裁判趣旨】
昭和22年法律第222号による改正前の民法730条2項は、「養親カ養家ヲ去リタルトキハ其者…ト養子トノ親族関係ハ之ニ因リテ止ム」と定めるところ、養親自身が婚姻又は養子縁組によってその家に入った者である場合に、その養親が養家を去ったときは、この規定の定める場合に該当すると解すべきである。
※判決文抜粋


【理由】
Aは、Yとの養子縁組によりY家に入った者であって、被上告人と養子縁組をした後,Zと婚姻してY家を去ったというのであり、Aの去家により、同項に基づきAと被上告人との養親子関係は消滅したものと解釈するべきである。


【ポイント】
養親が養家を去ったときは、その親子関係は消滅する。


【最後に】
養子縁組であっても、状況により親子関係が消滅し、相続に影響を及ぼすことは注意が必要でしょう。また、本件の結果、本件の相続人が変動したことにより、納付すべき相続税額がどのように変動したかも押さえておくべきポイントのかと思います。