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登記移転がされていなかった土地をめぐる遺産分割財産の判決

【裁判】
裁判年月日: 平成22年12月16日
法廷名: 最高裁判所第一小法廷
裁判種別: 判決
結果: その他


【訴訟経緯】
AからBに贈与された土地が、Bの死亡によりBの相続人Xに相続されたが、当該土地がAからBに所有権移転手続きされておらず、BからXへの相続が行えず、その登記移転手続きを求める裁判。


【判決】
AからXへの所有権移転登記手続きを請求することは許されない。


【裁判趣旨】
原審では、本訴請求を棄却する一方、Xの反訴請求を容認すべきものと判断していたが、不動産登記はその所有者を正確に残すことを趣旨としているため、本請求を容認することは許されない。


【理由】
不動産の所有権がAからBに、その後BからXへ順次所有権が移転したにも関わらず、登記名義が元の所有者Aに残っている場合、その所有権をAからXへ移転させる行為は、不動産の変動過程を正確に記録しようとする不動産登記法の原則に反する。

本来であれば、まずAからBへの贈与に対する移転手続きを請求し、その容認判決を得た上でAからXへ移転手続きをするべきであって、その過程を飛ばすことは容認できない。

そして、本件の内容を鑑みるに、そのような趣旨を含んでいる内容と理解する余地があり、そのような請求であれば、これを容認すべきである。

従って、この請求が上記趣旨に該当するか確認すべく、反訴請求部分のみ、原審へ差し戻すこととする。


【ポイント】
不動産所有権の移転手続きはその移転過程が大事であり、その過程を蔑ろにし、過程を飛ばして移転手続きを行うことは許されない。


【最後に】
趣旨については容認するが、法律の関係上、その過程も重要であり、抜けてしまう過程から請求し直しなさい、というのは裁判所ならではの判断かと思います。