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国税庁平成28年度発表 相続税申告時における贈与財産の否認データ

以前、相続税の税務調査の調査状況(最新年度版)を掲載しましたが、今回は贈与税の否認状況についての解説です。

ご存知通りに贈与税は相続税の補完税に当たるため、相続税の税務調査時、合わせて贈与税も調査されます。

その結果、申告された贈与税が適正でないと判断された場合、贈与税として追徴課税を課されるか、そもそも、「贈与として適切ではない」として判断された場合、相続財産として組み込まれることになります。

相続税を正確に判断するためにも、贈与税の申告が適切であったかどうか確認することは極めて真っ当な行動なのです。

但し、贈与税には時効が7年(最高で8年)の縛りが設けてあり、相続時、贈与税を調査されるのも、遡って8年だと言えるでしょう。


平成28年度 贈与税の税務調査の実態

実地調査件数
3,949件(前年度) 3,612件(本年度) 91.5 %(対前年度比)
申告漏れ等の非違件数
3,616件(前年度) 3,350件(本年度) 92.6% (対前年度比)
申告漏れ課税価格
176億円(前年度) 195億円(本年度) 110.5% (対前年度比)
追徴税額
49億円(前年度) 49億円(本年度) 99.9% (対前年度比)
実地調査1件当たりの「申告漏れ課税価格」
447万円(前年度) 540万円(本年度) 120.9% (対前年度比)
※算出方法→「申告漏れ課税価格」÷「実地調査件数」
実地調査1件当たりの「追徴税額」
124万円(前年度) 136万円(本年度) 109.2%(対前年度比)
※「追徴税額」÷「実地調査件数」
否認件数1件当たりの「申告漏れ課税価格」
486万円(前年度) 582万円(本年度)119.7% (対前年度比)
否認件数1件当たりの「追徴税額」
135万円(前年度) 146万円(本年度)108.1%(対前年度比)

※前年度の1期分(1年度分)を翌年に発表するので、平成28年度発表のものは平成27年度1年間の集計となります。

※国税庁の発表データは調査件数に対して算出しているため、より課税される実数に近くなるよう、否認件数から算出したデータを加算しています。(⑦と⑧)


相続税の税務調査実地件数と比較すると以下の数字になります。


実地調査件数
相続税:11,935件 贈与税:3,612件 3.3人に1人(相続税に対する贈与税の割合)
申告漏れ非違件数
相続税:9,761 贈与税: 3,350件 2.9に1人(相続税に対する贈与税の割合)
非違割合
相続税:81.8% 贈与税:92.7%
申告漏れ課税価格
相続税:3,004億円 贈与税:195億円
追徴税額
相続税:583億円 贈与税:49億円
実地調査1件当たりの「申告漏れ課税価格」
相続税:2,517万円 贈与税:540万円
実地調査1件当たりの「追徴税額」
相続税:489万円 贈与税:146万円)


如何でしょうか?

この様に数値化してみると、贈与税の税務調査の否認率・否認人数・追徴税額がかなり多いことが分かると思います。

従って、相続税の税務調査を意識された際は「贈与税」の税務調査も意識・対策する必要があることをご理解頂ければ幸甚です。


※参照 国税庁プレスリリース「平成27事務年度における相続税の調査の状況について」