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みなし贈与について

贈与税がかかる財産は、本来の贈与により取得したすべての財産ですが、まず非課税財産は除かれます。更に、ここでの財産というのは、金銭に見積もることができる経済的価値があるすべてのものをいいます。したがって、財産には、土地、家屋、株式などの他に、物権、債権、無体財産権など、法律上の根拠がなくても経済的価値が認められているもの、たとえば、営業権のようなものも含まれています。しかし、質権・抵当権のような従たる権利は、主たる権利を担保するものであるから財産のなかに含まれません。
その中で、本来の贈与でなくても、財産の取得や経済的利益の享受が、実質的に贈与を受けたのと同様の経済的効果を生ずる場合について、その取得や経済的利益の享受を贈与により取得したものとみなして、贈与税を課税することにしています。これをみなし贈与財産といい、これには、次のようなものが挙げられます。



信託契約により委託者以外の者が受益者となった場合(相続税法4条)
財産を信託するときには、信託契約により委託者が受益者(その信託から生ずる利益を受ける者)を指定することになっていますが、この受益者が委託者以外の者であるときは、その信託行為があったときに、受益者がその信託の受益権(その信託の利益を受ける権利)をその委託者から贈与によって取得したものとみなされます。
他人が保険料を負担していた生命保険金を受け取った場合(相続税法5条)
保険料を被保険者(被相続人)や保険金受取人以外の者が負担している生命保険契約または損害保険契約について保険事故が発生した場合に、その保険料の負担者以外の人が受け取った保険金は、贈与により取得したものとみなされます(相続または遺贈によって取得したものとみなされる場合を除く)。
これに当てはまる場合としては、
①保険期間が満了して、満期保険金を受け取った場合
②人の死亡を保険事故として保険金を受け取った場合
なお、贈与により取得したものとみなされる生命保険契約には、傷害や疾病などの保険事故で死亡を伴わないものにもとづく保険は除かれます。
また、損害保険契約の保険事故とは、偶然な事故に基因する保険事故で死亡を伴うものに限ります。
保険料の一部を保険金受取人以外の人が負担していた場合には、次の算式により計算した金額が、贈与により取得したものとみなされますので注意が必要です。

・受け取った保険金の額×(保険金受取人以外の人が負担した保険料額÷保険事故発生時までに振り込んだ保険料全額)
他人が掛金を負担していた定期金を受け取った場合(相続税法6条)
定期金給付契約(生命保険契約を除く)の給付事由の発生により、定期金を受け取ることとなった場合において、その契約の掛金を他人が負担していて、給付事由の発生したときは、定期金の受取人はその定期金の支給を受ける権利を掛金を負担した人から、贈与によって取得したものとみなされます。
掛金の一部を定期金受取人以外の人が負担していた場合には、次の算式により計算した金額が、贈与により取得したものとみなされます。

・定期金に関する権利の価格×(定期金受取人以外の人が負担した掛金の額÷給付事由発生時までに払い込んだ掛金の全額)
著しく低い対価で財産を譲り受けた場合(低額譲受)(相続税法7条)
著しく低い価額の対価で財産の譲渡を受けた場合には、その対価とその財産の譲渡のときにおける時価(通常の取引価格)との差額に相当する金額を、その財産を譲渡した人から贈与を受けたものとみなされて、贈与税が課税されます。
債務免除等により利益を受けた場合(相続税法8条)
債務者が債権者から債務免除を受けるとか、第三者に債務を引き受けてもらったり、または弁済してもらうと、債務者は自分が弁済すべきものを弁済せずに済ませたという利益を得たことになります。
このような場合には、その債務免除等による利益を受けた人が、その債務免除等に係る債務の金額に相当する金額(対価の支払いがあった場合には、その価格を控除した金額)をその債務を免除・引受けまたは弁済してくれた人から贈与により取得したものとみなされます。
※但し、債務者が資力を喪失して弁済することが困難である場合は除かれます。

※本文に関わる実際の適用については、税理士法の兼ね合い上、税理士に確認の上対応ください。