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譲渡制限株式の一般的な株式譲渡の流れ

法令文を根拠に譲渡制限株式(一般に非上場会社の株式)の譲渡の流れを分かりやすく解説してあります。

譲渡承認請求の通知
株式数や譲受人の氏名を明らかにして、「譲渡による取得を承認するか否かの決定」を発行会社に求める。
(会社法136条、会社法137条)

■記載事項
・当該請求をする株主が譲り渡そうとする譲渡制限株式の数
(種類株式発行会社にあっては、譲渡制限株式の種類及び種類ごとの数)
・譲渡制限株式を譲り受ける者の氏名又は名称
・発行会社が株式譲渡の承認をしない場合において、会社及び指定買取人に譲渡制限株式を買取請求するときはその旨
承認機関による決議
・定款に承認機関について特段の定めがない場合には、取締役会設置会社の場合→取締役会
・取締役会非設置会社の場合には株主総会の決議によること(会社法139条、会社法416条)
※定款の定めで、他の機関に行わせることも可。(会社法139条)
決議の結果
・株主に2週間以内に通知
・2週間以内に通知しない場合は、会社は譲渡を承認したものとみなされる。(会社法145条)
※この場合の2週間とは、請求の日を起算日とする。但し、定款でこれを下回る期間を定めた場合は、その期間以内
決議の結果、承認しない場合
不承認通知を期間内に受けた株主(取得者)は、会社・指定買取人が株式を買い取ることを請求することができる。(会社法138条、140条)
※但し、①の譲渡請求書にその旨記載しておくことが条件

不承認の通知を出した場合、会社が買い取る場合には、③の譲渡不承認の通知から40日以内に会社が買取通知を行わなければ、譲渡承認の請求は承諾したものとみなされる。
(指定買取人が買い取る場合には、③の譲渡不承認の通知から10日以内に、指定買取人が買取通知を出すこと)
会社or指定買取人の買取請求(買取価格の決定)
・会社(指定買取人)と株主との協議によって買取価格の決定(会社法144条1項)
・④の買取通知から、20日以内に価格の折り合いが付かない場合、裁判所に申し立てを行い、判決の価格に従うこと
・④の買取通知を出すまでに「指定の供託額」を本店の所在地の供託所に供託し、かつ、当該供託を証する書面を譲渡等承認請求者に交付しなければならない

※供託額=純資産額÷発行済株式総数×譲渡承認請求者の売買予定株数
※株券発行会社の株式である場合、会社及び指定人が買取する通知を受けた日から一週間以内に、当該株券発行会社の本店の所在地の供託所に供託しなければならない
※また、当該株券発行会社に対し、遅滞なく、当該供託をした旨を通知しなければならない。
譲渡制限株式の譲渡の流れ(相続人からの請求の場合)
①~③までは、通常の譲渡制限株式の流れと同様。
問題は、決議の結果承認しない場合、そこで手立てが終わってしまうこと。
(会社か指定買取人が買い取るよう出来ないこと)

よって、「会社が承認できるよう」環境(買取資産)を整えておくことが重要