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2019年度の主な相続税関係の改正

平成31年(2019年度)に改正された相続税・贈与税関系(法人・農地・個人事業関係は除く)を纏めました。主要な変更は以下の通りです。


住宅取得資金等の贈与の非課税限度額
※適用期限は令和3年(2021年)まで延長
■住宅用家屋の取得費用に関わる消費税が10%の場合
・取得契約日が令和元年4月~令和2年3月→3000万円(良質な住宅家屋)、2500万円(左記以外の住宅家屋)
・取得契約日が令和2年4月~令和3年3月→1500万円(良質な住宅家屋)、1000万円(左記以外の住宅家屋)
・取得契約日が令和3年4月~令和3年12月→1200万円(良質な住宅家屋)、700万円(左記以外の住宅家屋)
地積規模の大きな宅地の評価
※広大地の評価の名称変更
土地の個性に応じた形状、面積に基づく評価方法に変更。
※平成30年1月1日以降の相続から適用
■算出方法
・路線価×形状等による補正率×規模格差による補正率×地積
※参考(旧広大地の算出方法)
・正面路線価×(0.6-0.05×(広大地の地積/1,000㎡)×地積)
小規模宅地等の特例 現行の制度(条件A)から以下の者を更に除外
①相続開始3年以内に、この特例を適用しようとする者が、その者の3親等内の親族、またはこの特例を適用しようとする者と特別の関係にある法人が所有する国内にある家屋に居住したことがある場合
②相続開始時において居住の用に供していた家屋を過去に所有していたことがある場合
■参考(現行の制度)
相続開始の直前において、被相続人(亡くなった方)の居住の用に供されていた宅地等で一定のものを指し、配偶者や同居親族がいない被相続人の居住用宅地を以下の用件を満たす相続人等が取得した場合、一定の要件を下に80%減となる。
(条件A)相続開始前3年以内に日本国内にある取得者または取得者の配偶者の所有する家屋に居住したことがない者(相続開始の直前において、被相続人の居住の用に供されていた家屋を除く)
(条件B)その宅地等を相続税の申告期限まで有していること
要約すると、被相続人の配偶者や同居親族がいない場合において、「家を所有したことがない左記以外の相続人が、被相続人の居住用宅地を取得するなら8割減にしますよ」と言う特例になります。
貸付事業用宅地等の特例 現行の貸付事業用宅地等の条件から、更に次の宅地を除外。
・相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等(相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている者が貸付事業の用に供しているものを除く)
※ただし、平成30年3月31日以前から貸付事業の用に供されている宅地等については適用しない
■参考(現行の制度)
貸付事業用宅地等とは、相続開始の直前において、被相続人等の貸付事業の用に供されていた宅地等で、以下の一定の要件を満たすものは評価が50%減となる。
①その宅地等に係わる被相続人の貸付事業を相続税申告期限までに承継し、かつ、その相続税申告期限までその貸付事業を行っていること
②その宅地等を相続税申告期限まで有していること
要約すると、相続開始3年以内に貸付事業の用に供された宅地は適用外となりますよ、という変更になります。
特定美術品の納税猶予 文化保護法の改正を前提に個人が特定の美術館と特定美術品の長期寄託契約を締結し、文化庁長官の認定を受け、特定美術品を寄託した場合、その特定美術品を相続により取得した相続人が寄託を継続した時、特定美術品に係わる課税価格の80%対応する納税を猶予する
※令和元年4月1日以後の相続から適用
法定相続情報一覧図 相続税の申告書の添付資料として提出できる書類の範囲に戸籍謄本の複写、被相続人の全ての相続人、法定相続分や実子・養子の別を明らかにした「法定相続情報一覧図」を加える
※平成30年4月1日以後に提出する申告について適用