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会員制ゴルフクラブの喪失規約は有効かどうかを求めた裁判

【裁判】
事件番号:平成5(オ)1169
事件名: ゴルフ会員権名義書換手続
裁判年月日:平成9年5月27日
法廷名:最高裁判所第三小法廷
裁判種別:判決
結果:棄却


【訴訟経緯】
預託金会員制ゴルフクラブの”「会員が死亡後」六箇月以内に、預託金の返還、相続人のうち一名への名義書換え又は第三者への会員資格の譲渡のいずれかの手続を選択して理事長に届け出なければ、預託金の返還をする”旨の会員規約は、遺産分割協議が整わず、6ヶ月経過した場合であっても有効かどうかを求めた裁判。

■具体的背景
・上告人はD預託金会員制ゴルフクラブを経営する会社である。
・昭和37年4月8日、Fは上告人に40万円の預託金を渡し本ゴルフクラブの会員となった。
・昭和63年5月26日、本件ゴルフクラブの会員規約は以下の通りに改正された。
【改正後のゴルフクラブの会員規約】
(1)会員が死亡したときは、相続人は、6ヶ月以内に
(A)預託金の返還手続、
(B)相続人のうち一名への名義書換手続、
(C)第三者への会員資格の譲渡
のいずれかの手続を選択して理事長に届け出なければならない、
(2)相続人が右の期間内に右の届出をしないときは、上告人は預託金の返還手続をとる
(3)相続人が(B)又は(C)の手続を選択した場合には、会員たる資格が譲渡された場合に準じ、事前に本件クラブの理事会及び上告人の取締役会の承認を得なければならない旨を定めている。
・Fは平成2年7月24日に他界した。
・Fの相続人は、妻G、FとGの子である長女H、長男I、被上告人の二男、二女Jの5名である。
・平成3年4月1日、Fの遺産分割協議が成立し、本件ゴルフクラブ会員権は被上告人が取得することとなった。
・平成3年4月5日、Fは上告人に対し、本件会員権につき、Fから被上告人への名義書換えの手続を求めたが、上告人は、既にFの死亡後6ヶ月の届出期間が経過しているため、本件規則により、相続人への名義書換えは認められないとして、これを拒否した。
・平成3年6月当時、本件ゴルフクラブ会員権の取引価格は3400万円であった。


【判決】
上告人による本件上告を棄却、判決。


【判決趣旨】
本件規則は、死亡した会員の相続人が複数いる場合には、相続人の間で遺産分割に関する協議が成立した後6ヶ月以内に右規則所定の手続をすべき旨を定めたものと解するのが相当である。
※判決文一部抜粋


【理由】
本件規則所定の6ヶ月の起算点を会員の死亡時とし、6ヶ月の期間経過後は相続人は預託金の返還を求める権利のみを有すると解することは、遺産分割に関する協議が早期に調わなかった会員の相続人に著しい財産上の不利益を一方的に被らせることになり、相当とはいえない。
※判決文抜粋


【ポイント】
本裁判のポイントは、ゴルフクラブ会員権の規約に従うことによって、会員の相続人が著しく不利益を被るかです。規約通りだと40万円の返還ですが、譲渡が可能になると3400万円で取引が可能でこの点が著しく不利益を被るかどうか、そして、相続発生後6ヶ月以内に遺産分割が社会通念上可能かどうか、この2点の総合判断により判決が下されています。


【最後に】
ポイントでも解説した通り、本件は総合判断の上判決が下されていますので、同様の規約内容であっても、本判例通りにいくかどうかは一度弁護士に相談する必要があるでしょう。


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