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共有状態の土地を単独で宅地造成したため、原状回復を求めた裁判。

【裁判】
事件番号:平成8(オ)551
事件名: 共有持分権に基づく妨害排除、遺言無効確認等
裁判年月日:平成10年3月24日
法廷名:最高裁判所第三小法廷
裁判種別:判決
結果:その他


【訴訟経緯】
共有状態にある土地を相続人の1人が単独で宅地造成したため、他の相続人が原状回復を求めた裁判。

■具体的背景
・平成2年10月27日、Dが他界。
・Dの相続人は、妻Eと上告人及び被上告人を含む子供4人である。
・Dの相続財産は主に土地、不動産であり、遺産分割は未完了のままである。
・Dの相続財産の内、本件土地はDの死後、畑として利用されていた。
・被上告人が、本件土地上に家屋を建築する目的で、平成5年4月~同年7月頃までの間、本件土地に土砂を搬入して地ならしをする宅地造成工事を行った結果、その地平面が北側公道の路面より25cm低い状態にあったものが右路面より高い状態となり、非農地化してしまった。
・本件請求は上告人が被上告人に対し、本件土地の原状回復を求めた裁判である。


【判決】
被上告人が本件土地につき共有持分権に基づく使用権原を有している理由から、上告人の主張を退けた原審の判決を棄却差戻し。


【判決趣旨】
共有者の一部が他の共有者の同意を得ることなく共有物を物理的に損傷しあるいはこれを改変するなど共有物に変更を加える行為をしている場合には、他の共有者は、各自の共有持分権に基づいて、右行為の全部の禁止を求めることができるだけでなく、共有物を原状に復することが不能であるなどの特段の事情がある場合を除き、右行為により生じた結果を除去して共有物を原状に復させることを求めることもできると解するのが相当である。
※判決文抜粋


【理由】
本件土地は、遺産分割前の遺産共有の状態にあり、畑として利用されていたが、被上告人は、本件土地に土砂を搬入して地ならしをする宅地造成工事を行って、これを非農地化したというのであるから、被上告人の右行為は、共有物たる本件土地に変更を加えるものであって、他の共有者の同意を得ない限り、これをすることができないというべきところ、本件において、被上告人が右工事を行うにつき他の共有者の同意を得たことの主張立証はない。そうすると、上告人は、本件土地の共有持分権に基づき、被上告人に対し、右工事の差止めを求めることができるほか、右工事の終了後であっても、本件土地に搬入された土砂の範囲の特定及びその撤去が可能であるときには、上告人の本件請求が権利濫用に当たるなどの特段の事情がない限り、原則として、本件土地に搬入された土砂の撤去を求めることができるというべきである。
※判決文抜粋


【ポイント】
※民法251条
共有物に変更を加える行為は、共有物の性状を物理的に変更することにより、他の共有者の共有持分権を侵害するものにほかならず、他の共有者の同意を得ない限りこれをすることが許されない


【最後に】
遺言書による指定を除き、遺産分割が完了するまでは、相続財産は相続人の共有財産です。不動産等の不可分債権は、自己の相続財産が確定するまでは、他の共同相続人の了承を得つつ、実行する必要があるでしょう。


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