会社イメージ

国税庁の通達から読み解く配偶者の税額軽減が適用されない場合

配偶者には相続の際、税額の軽減が受けられるよう、税法上配慮されていますが、無条件で適用できる訳ではありません。

特にインターネット等で誤った知識が公開されているケースもありますので、特に注意が必要な項目でもあります。

まず、配偶者の税額軽減が適用できる財産は「相続税法19条-2」に定義されています。

要点を記載すると、以下の通りとなります。


【配偶者の税額軽減が適用できるケース】

分割により取得した財産(相続税法基本通達 19条2-4-1)
→遺産分割せず、配偶者のみに相続財産を集中した場合は適用不可
※相続財産が1億6千万円で、配偶者に全財産を集中相続した場合は適用不可。よって、この場合、相続税は0円にはなりません。
特定遺贈による相続財産(相続税法基本通達 19条2-4-4)
→特定遺贈とは、遺言書を活用し、財産名を指定した相続財産
(例えば、「○○銀行の○○支店の預貯金全て」や「自己が所有する不動産の内、○○県にある土地・建物」など相続する財産がはっきりしたもの。「全財産の内3分の1を受け取る」などの総数に対する受取り分の指定は「包括遺贈」といい、別になります。ご注意ください。)
相続人が配偶者のみで、他に遺言書指定の受取人がいない場合(相続税法基本通達 19条2-4-2)
→この場合、配偶者が全財産を相続しても、配偶者の税額軽減の特例が受けられます。
遺言書指定の相続人が配偶者のみで、他に相続人がいない場合(相続税法基本通達 19条2-4-3)
→この場合も③同様に、配偶者が全財産を相続しても、配偶者の税額軽減の特例が受けられます。但し、現実としてはあまりあり得ないケースです。)

適用条件の要約
これまでの内容を要約すると、配偶者の他に相続人がいるのに、遺産を分割しないで受け取る方法は全て適用不可です。特定遺贈(財産名と受取人の名指し)で全ての財産を配偶者にした場合はケースバイケースとなりますので、弁護士に相談の上行う必要があります。但し、相続には遺留分がありますので、このプランを選択しても、上手く纏まる可能性は限りなく低いかと思います。 (遺留分の方が、遺言書より法律上権利が上のため、遺留分侵害で他の相続人から相続財産を請求され、結果、遺産が分割される)




【配偶者の税額軽減が受けられないケース】

配偶者が仮装隠ぺいした財産(相続税法基本通達 19条2-7)
→相続税の税務調査に引っ掛かり、配偶者が仮装隠ぺいした財産には、特例の適用不可。また、配偶者が受取る相続財産でなくとも、配偶者が仮想隠蔽した相続財産があると「税額軽減」の算出額に影響を及ぼすので要注意。

※ここでの「仮装隠ぺい」とは、本人が意図したかどうかではなく、「税務調査にきた税務官が結果どう判断するのか?」が基準となります。

※被相続人(財産を遺した方)が仮装隠ぺいした財産は追徴課税のみの対象です。
相続税の申告期限までに相続税の申告を行わなかった場合(相続税法基本通達 19条2-4-1)
→無申告財産もこれに該当します。配偶者の税額軽減を適用したところ、相続税が0円になった場合でも必ず申告が必要です。申告しない場合は適用できません。また、相続税申告期限までに遺産分割が整わず、申告できない場合は特例がありますので、申請の上、相続税を仮納付すれば、適用可能となります。この場合、再提出した遺産分割(申告)案と差異がある場合、過納付分は還付されます。


以下参照文 「国税庁 相続税基本通達 相続税法19条の2」

(配偶者に係る相続税の課税価格に相当する金額の計算の基礎とされる財産)
19の2-4 法第19条の2第1項第2号ロに規定する「当該相続又は遺贈により財産を取得した配偶者に係る相続税の課税価格に相当する金額」の計算の基礎とされる財産とは、当該配偶者が取得した次に掲げる財産をいうのであるから留意する。(昭47直資2-130追加、昭50直資2-257、平6課資2-114改正)


(1)当該相続又は遺贈に係る法第27条の規定による申告書の提出期限までに当該相続又は遺贈により取得した財産のうち分割により取得した財産

(2)当該相続に係る被相続人の相続人が当該被相続人の配偶者のみで包括受遺者がいない場合における当該相続により取得した財産

(3)当該相続に係る被相続人の包括受遺者が被相続人の配偶者のみで他に相続人がいない場合における当該包括遺贈により取得した財産

(4)当該相続に係る被相続人からの特定遺贈により取得した財産

(5)法第19条の規定により相続開始前3年以内に当該相続に係る被相続人から贈与により取得した財産の価額が相続税の課税価格に加算された場合における当該財産

(6)法の規定により当該相続又は遺贈により取得したものとみなされる財産

(7)当該相続又は遺贈に係る法第27条の規定による申告書の提出期限から3年以内(当該期間が経過するまでの間に財産が分割されなかったことにつきやむを得ない事情がある場合において、税務署長の承認を受けたときは、当該財産につき分割できることとなった日の翌日から4月以内)に分割された場合における当該分割により取得した財産

一覧に戻る