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平成28年度 税務調査の推移(相続税)

―初めに―
国税庁は毎年、相続税・贈与税に限らず、税に対する活動状況をホームページ上で公開しています。その中で、「相続税」に絞り、税務調査の現状について解説します。

尚、国税庁の発表データは事務年度毎に公開する性質上、前年度分を翌年度に公開するようになっています。(平成28年度公開データなら、平成27年度中のデータになる、というもの)


平成28年度公開データ(平成27年度分)
1)■実地調査件数

11,935件(前年度12,406件)
■申告漏れ等の非違件数
9761件(前年度10,151件)
■非違割合
81.8%(前年度81.8%)
■相続税の申告書の提出に係る被相続人数(相続税発生者数)
103,043人(前年度56,239人)
■税務調査の発生割合
相続税発生者8.6人に1人(前年度4.5人に1人)
■重加算税賦課件数
1,250件(前年度1,258件)
■申告漏れ課税価格合計
3,004億円(前年度3,296億円)
■追徴税額合計
583億円(前年度670億円)
■1件あたりの申告漏れ課税価格※
3077万円(前年度3246万円)
■1件あたりの追徴税額※
597万円(前年度660万円)


※「1件あたりの申告漏れ課税価格」と「1件あたりの追徴税額」は国税庁発表データと異なります。

国税庁発表データは「1件あたりの申告漏れ課税価格÷実地調査件数」で算出した数字が明示されていますが、「1件あたりの申告漏れ課税価格÷申告漏れ等の非違件数」で算出した方が、より現実に沿った数字となります。

税務調査は否認された人が追加で税金を納税するものなので、実地調査に及んだ件数から算出するのではなく、実際に否認された件数から算出しないと、正確な平均金額が出ないためです。


【解説】
平成27年度に相続税の改正があり、基礎控除が下がりました。その影響を受けて相続税発生者に対する税務調査の発生割合が半分にまで下がっています。税改正前までは、ほぼ4.5人前後で横ばいの数字だったため、この点だけ大きく数字が動いています。

しかし、一方で他の数字に大きな変化が一切見られず(無申告案件の調査件数も平成26年度868件から平成27年度863件に留まる)、この点から、対象者が広がっただけで、税務調査のターゲットとされる中核層は決まっており、その点については大きな変化は現れていない、ということが言えます。

ご存知の方も多いとは思いますが、税務調査の対象となる方は、税務署の方で事前にリスト化されており(資産状況で分類している通称「資産家リスト」)、それをベースに税務調査に入っているからこそ、割合に大きな変動がないのでしょう。

数字の細かな変化は年間死亡者数との関係もあります。(年間死亡者数は123~129万人で推移。だから、比率に大きな変化がない。)

無申告案件も、リスト化された対象者の相続税人が相続税を申告しているのかどうか、で判断しているようにも伺えます。(資産家の方の相続であれば、申告期限内に遺産分割が纏まらず、遺産争いで申告を忘れていた、出来なかった、という可能性の方が高いかと思いますが。)

税務調査の対策は「相続発生時の対策」と「生前での対策」に分けられます。これらを正しく理解することで、この否認率も多少は変化するのではないでしょうか?

興味のある方は、過去分のプレスリリースを参照頂くと、数字の変化に乏しいことがよくわかるかと思います。


参照 国税庁プレスリリース
「平成27年分の相続税の申告状況について」
「平成27事務年度における相続税の調査の状況について」

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